いのちのせんたく すべてに感謝

働く人の心と体、職場の空気をメンテナンスする:チームが長持ちする職場の習慣

働く場は、単なる労働の場ではなく、人が心地よく力を発揮できるための「環境」そのものです。安心して発言できる空気、感情を受け止める余裕、そして身体の基盤を整える習慣があるかどうかで、仕事の質や持続性は大きく変わります。

効果的なコミュニケーションと心身の回復は、個人と組織のパフォーマンスを持続的に高める上で不可欠な要素です。特に、コミュニケーションを確立することは、個人間の誤解やばらつきを減らし、誰かを非難するのではなく、次に何を改善すべきかに焦点を移す上で非常に有効です。

仕事はやり切って終わりではなく、回復まで含めて設計するものです。業務量は常に一定ではなく変動があります。業務量に合わせた「休む・食べる・寝る」を前提に置くことで、翌日の集中とコミュニケーションが安定します。これにより、燃え尽き症候群等を防ぎ、長期的なパフォーマンス維持と生産性向上につながります。

この記事では、仕事の質や持続性を高めるための具体的な習慣とコミュニケーションの型について解説します。

心を護る習慣:人格否定を避ける

働く上で重要なのは、意見や行動を批判する際も、その人の人格まで否定しないことです。人格を攻撃されると、人は強く傷つき、防衛的になりやすくなります。一方で、行動や選択の改善に焦点を当てれば、相手も受け入れやすく、前向きに成長していけます。安心できる雰囲気は、日々の小さなやり取りの積み重ねから生まれます。尊重の姿勢を持つことが、心を護る最も基本的な習慣といえるのです。

例:10時締切の資料が未提出の場合
  • 誤「だらしない」
  • 正「10時締切の資料が未提出です。次回は前日17時までに提出をお願いします」

未提出の資料に関する指摘は、単に「だらしない」と人格を否定するのではなく、「10時締切の資料が未提出」と事実を明確に伝えます。資料が期日までに提出されなかった事実に触れつつ、次回からは前倒しで提出をお願いすることで、スムーズな進行を図る工夫も検討しましょう。

指摘は「人」ではなく「行動」に向ける

曖昧な空気で伝える時代は終わりました。指摘は「人」ではなく「行動」に向けるようにしましょう。暗黙に頼らず、変更点は文字で明確に共有します。目的は、改善点を具体化し、就業環境を損ねずに成果を上げることです。

主語と動作を明確にし、人物評価語を避け、観察可能な事実に限定します。結論は「誰が悪いか」ではなく「次に何を直すか」に集約します。

ハラスメントを未然に防ぐ3つの条件

ハラスメントと見なされない指導を行うための3つの判断軸について説明します。これらは、業務上の必要性、方法の相当性(態度、頻度、継続性)、就業環境を害していないか、です。一方で、人格否定や繰り返しの叱責は精神的な攻撃に当たります。

3つの判断軸:ハラスメントを未然に防ぐために
  • 業務上の必要性があるか
  • 方法が相当か(態度・頻度・継続性)
  • 就業環境を害していないか

適切な指導と不適切な行為の明確な線引きが、ハラスメントを未然に防ぐ上で重要です。

「事実→影響→期待」を機能させる短文運用

美しい言い回しより、短文で正確に伝えるようにしましょう。短文にすることで、誤解なく、スピーディーに本質を共有し、無駄な議論を避けることができます。

出来事は一点に絞り、日時・場所・関係者・要望・対応・結果を、主観や形容を排して記録します。共有は当日中に上長または相談窓口へ行います。 

ここまで整えば、伝達は三行で迷いません。事実:、影響:、期待:の順に並べ、期日・手段・担当を明記します。

三行テンプレ(固定)
  • 事実:____。
  • 影響:____。
  • 期待:____(期日:__/手段:__/担当:__)。
記入例
  • 事実:納期前日に仕様を変更。
  • 影響:検証に半日の遅れ。
  • 期待:以後は前週末までに共有(期日:毎週金曜17時/手段:Slack/担当:Aさん)。
共有のルール
  • 件名は「【三行】案件名_日付」
  • 同じ話題は同一スレッドに追記(最新版を上に)
  • 変更は三行で再掲し、古い条件は取り消し線または履歴に残す。
  • 当日中に一次共有、翌営業日までに対応方針を合議で確定。

型を固定すると、争点は「誰が悪いか」から「何を直すか」へ移り、個人間のばらつきが減ります。記録が比較可能になり、是正の合意も迅速になります。

まとめ

この解説では、働く環境と心が仕事に与える影響と、具体的な習慣やコミュニケーションの型を紹介しました。

  • 人格を守る: 批判は行動に向け、人格を否定しない。
  • 指摘は行動に向ける: 曖昧さをなくし、改善点を明確に共有する。
  • 三行テンプレ: 短く正確なコミュニケーションで、迅速な合意形成を目指す。
  • 回復を含めた設計: 心身の回復も仕事の一部として考え、持続可能なパフォーマンスを追求する。

これらの習慣と型を取り入れることで、「誰が悪いか」ではなく「何を直すべきか」に焦点を移し、個人と組織の成長につなげることができます。

(参照日:2025-09-03)